意外に簡単!?米国株ETFを解説
「株式投資」をしようと、企業分析や業績、チャートを見比べてはみても、企業数も膨大で、銘柄選びに悩む人も多いと思います。
そんな場合はETF(上場投資信託)を検討してみるのはいかがでしょうか。国内株式にとどまらず、最近では米国株式のETFへの投資も気軽にできるので注目を浴びています。
ETFと投資信託の違いは?
ETFとはExchange Traded Fundの略で、Exchange(証券取引所で)Traded(取引される)Fund(投資信託)です。一般の投資信託は非上場ですが、ETFは上場しているという違いがあります。
つまり米国株ETFは、アメリカの証券取引所に上場している投資信託です。取引所を通じ、日本国内の株式と同じように取引方法や取引価格を自分で指定して取引を行うことができます。
米国株ETFに投資する4つのメリット
米国株ETFに投資するメリットにはどんなものがあるのでしょうか。
米国株ETFには「リアルタイム投資」「リスク分散投資」「コストを抑えられる」「少額での投資可能」という4つのメリットがあります。
特に投資初心者にとっては、株式投資のようにリアルタイムで投資ができて、さらに投資信託のようにリスク分散もできる点は大変魅力的なメリットではないでしょうか。
投信と米国ETF、どっちを選ぶべき?
投資信託とETFでは、商品の特性上の違いがみられます。ご自身の投資方針に合わせて選んでみるのもよいでしょう。
例えば、あまりこまめにマーケット情報を確認する余裕がない方や、少しでも売買の手間を抑えて資産形成していきたい方には、ETFより投資信託の積立の方が始めやすいでしょう。
また、昨今利用者も増えているNISA制度を活用して、毎月決まった額を積み立てながら資産形成をしたいという方にも、投資信託はおすすめです。
ETFの場合は、値動きが急落した場合にスポットで買い増しをすることが可能です。そのため、日々マーケットの様子を見ながら取引をしていきたい方にはETFがおすすめできるでしょう。
また、取引にまつわる各項目についても違いがあります。
例えば購入価格ですが、投資信託の場合は100円~など少額から購入が可能です。ETFの場合は株式と同様に1株あたりから購入できるため、銘柄に応じて購入額が変わってきます。
投資信託とETFを、大まかに比較すると次のようになります。
<投資信託とETFの比較>
項目 | 投資信託 | ETF(上場投資信託) |
---|---|---|
上場の有無 | 非上場 | 上場 |
購入場所 | 証券会社、銀行、郵便局など | 証券会社 |
購入価格決定の タイミング |
1日1回 (基準価額に応じる) |
リアルタイムで変動する 市場価格に応じて決定 |
手数料 | 購入時手数料、信託報酬、信託財産留保額 | 売買手数料、信託報酬 |
信託報酬 | 一般的に高め | 一般的に低め |
分配金 | あり(再投資されることが多い) | あり(再投資されない) |
流動性 | 中程度 | 比較的高い |
最低投資額 | 少額から可能 (三菱UFJ eスマート証券の場合100円~) |
1株単位 (銘柄により数百円~) |
リスク | 中程度(分散効果あり) | 中程度(分散効果あり) |
透明性 | 高い(基準価額が公開) | 高い(市場価格が公開) |
※上の図は三菱UFJ eスマート証券が作成
※上の図は投資信託とETFの簡易的な傾向比較です。個別具体的な詳細は必ず各銘柄情報をご確認ください。
【ケース別】米国株ETFと投資信託はどっちがおすすめ?
では実際に最近インデックス投資で人気のある投資信託(eMAXIS Slim 米国株式(S&P500))と、米国株ETF(iシェアーズ コア S&P 500 ETF(IVV)※)を、コストの面から比べてみましょう。
ケース①S&P500を扱う投資信託と米国株ETF
<国内投資信託と米国株ETFとのコスト比較(S&P500)>
コスト | 売買 手数料 |
為替スプレッド | |
---|---|---|---|
(国内投資信託) eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) |
0.09372% (年率の税込信託報酬) |
なし | 両替なし |
(米国株ETF) iシェアーズ S&P 500 ETF(IVV) |
0.03% (年間経費率) |
0.495% | 1ドルあたり20銭 |
※2024年12月10日時点。コストは交付目論見書・FACT SHEETより、売買手数料・為替スプレッドは三菱UFJ eスマート証券の場合
どちらもS&P500指数をベンチマークとするインデックス投信なので、両者のチャートの動きは類似するものとなります。なおeMAXIS Slimとは、低コストにこだわって運用されている、三菱UFJ国際投信の投資信託のシリーズです。
コストと売買手数料を合わせて考えると、この投資信託は売買手数料がかからないので、例えば2年間保有した場合のコストと売買手数料の合計は、信託報酬の2年分の0.18744%です。
一方、このETFを2年間保有した場合は、往復の売買手数料(2回分)を含めると1.05%です。つまり、投資信託の方が低コストになるということがわかります。
この傾向は、それぞれを比較的長期間保有し続けた場合でも続き、それぞれを16年間以上保有し続けた場合、やっとETFのコストの方が安くなります。
こうしたことから、低コストが魅力の投資信託の場合は特に、長期保有を前提に運用しやすいといえるでしょう(為替スプレッドを考慮せず)。
なお、米国株の手数料は約定金額の0.495%ですが、三菱UFJ eスマート証券の場合、上限手数料が22ドル(税込)となっています(2024年12月現在)。つまり約定金額で4,455ドル(1ドル=150円とすると、約66.8万円)以上は上限手数料の22ドルになります。まとまった資金を一括投資する場合には大変嬉しい設定です。
また、ETFの売買にかかるコストとして、為替の両替にかかる費用(為替スプレッド)があります。
三菱UFJ eスマート証券の場合は、1ドルあたり20銭です。国内投資信託の場合には、日本円ベースでの取引となるので両替は生じません。
ケース②金(ゴールド)を扱う投資信託と米国株ETF
次に、金(ゴールド)の投資信託と米国株ETFを比べてみましょう。
<国内投資信託と米国株ETFとのコスト比較(ゴールド)>
コスト | 売買 手数料 |
為替スプレッド | |
---|---|---|---|
(国内投資信託) iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド (為替ヘッジ無) |
0.5085% (信託報酬) |
なし | 両替なし |
(米国株ETF) iシェアーズ ゴールド トラスト(IAU) |
0.25% (スポンサー報酬) |
0.495% | 1ドルあたり20銭 |
※2024年12月10日時点。コストは交付目論見書・FACT SHEETより、売買手数料・為替スプレッドは三菱UFJ eスマート証券の場合
こちらも値動きは類似したものになります。
コストと売買手数料を合わせて考えると、3年以内にETFを売却してしまうと投資信託と比較して不利になりますが、長期目線で4年以上保有するのであれば、ETFで購入する方がコスト面で有利になってきます。(為替スプレッドを考慮せず)
この投資信託の「iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド(為替ヘッジなし)」の資産構成比率は、米国株ETFの「iシェアーズ ゴールド トラスト(IAU)※」が99.0%を占めています(2024年12月10日現在)。※IAUの詳細閲覧にはログインが必要です
つまり、実は中身はほぼ一緒ですので、長く保有するのであればこの場合はETFの方がコストが抑えられるということになります。
今まで投資信託のみで投資を考えていた方も、米国株ETFを検討対象に加えることでさらに引き出しが増えますので、ぜひ活用してみてください。
※今回、ドルと円の為替は考慮に入れておりません。